未登記でも課税対象?別荘と固定資産税の関係とは
一般の住宅であれば登記はもはや必須といえますが、特定のシーズンや週末だけの住まいとなる別荘の場合には、未登記のままということも少なくはありません。この場合でも一般の住宅と同様に固定資産税が課せられることがあります。
未登記の別荘に固定資産税はかかるのか
別荘など未登記の建物における固定資産税については、別の観点から注意が必要です。
別荘は、一般的なマイホームとは異なり、住宅ローンの融資対象外であることが多いため、金融機関が担保権を設定する必要もありません。住宅ローンの借入れをする場合には登記はほぼ必須となりますが、逆に住宅ローンの借入れをせずに自費で別荘を新築するのであれば、余計な費用や手間を避けるたけに登記をあえてしないまま使用するケースもあり得ます。
このような未登記の別荘についても、固定資産税は免除されるわけではないことに注意が必要です。別荘とはいっても、屋根や外壁があり、住居として使用可能な状態であれば、非常に簡素な構造で評価額が免税点以下の場合などの特別なケースを除いては、しっかりと固定資産税の課税対象となります。
未登記の別荘を役所はどうやって把握するのか
建物を登記すれば、法務局から市町村に登記済通知データが送られるため、市町村ではこのデータをもとにして固定資産税を新たに課税するための手続きができます。未登記の場合、そもそも法務局にデータがないわけですから、市町村が課税することは一見すると困難ですが、実際はそのようなことはありません。
全国各地の市町村では、未登記の建物を把握するために、上空から撮影した航空写真を解析したり、職員による巡回したりといった活動を日常的に実施しています。このような活動を通じて、たとえ未登記の状態にある建物であっても市町村が捕捉することは可能であり、意図的に登記をせずに課税を免れるのは困難で、むしろ追徴課税のリスクさえあります。
別荘のような未登記建物を取得した場合には、「未登記家屋所有者届」を税務課などのセクションに提出する決まりとなっている市町村も少なくありません。この届出は通常、地方税法に関連した事務手続きを円滑に進めるためのローカルルールとして、市町村の規則や要綱などで明文化されており、該当市町村のホームページのなかにある例規集(条例規則集)などで確認することができます。
固定資産税評価額と課税標準額の違い
未登記の別荘に固定資産税が課税されることになった場合には、所有者のもとに「固定資産税納税通知書」と呼ばれる郵便物が届きますので、指定された期限までに納税しなければなりません。
この通知書にはトータルの課税金額のほかにも、課税対象の内訳などがこまかに書かれているはずです。そして固定資産税の計算には「固定資産税評価額」と「課税標準額」という2つの金額が使われますが、これが混同されやすい要因となっています。
まず、固定資産税評価額は、国が定めた「固定資産評価基準」に基づいて土地や建物の価値を評価した金額です。建物の場合は、現在同じ建物を新築すると仮定した場合の再建築価格に、経年による損耗率をかけて算出されます。土地の場合は、地価公示価格の7割程度が目安とされています。
一方、課税標準額は、固定資産税の税率をかけて実際に税額を算出する際の基準となる金額です。建物に関しては、特例がない限り課税標準額と評価額は一致しますが、土地については住宅用地などの軽減措置があるため、課税標準額が評価額より低くなることが一般的です。ただし、別荘の場合は「日常生活の用に供しない」と判断されると、住宅用地の軽減措置が受けられないため、一般的な固定資産税の課税のあり方とは異なるケースがあります。