別荘を購入するならランニングコストに注意
別荘を購入しようとする場合、本体価格だけではなく、ランニングコストにも注目することが重要です。
土地と建物をあわせた価格がいくら安く見えたとしても、所有するだけでかかってしまうランニングコストが膨大な場合、トータルではけっして適切な選択であったと言い切れるものではありません。
ネット広告ではランニングコストが省略されていることも
不動産会社が別荘売り出しに当たって掲出しているインターネット広告には、物件のおおまかな位置や地図、交通手段、間取り、面積などが書かれています。
しかし、それらを鵜呑みにして業者とコンタクトを取ってみると、実際には購入するかどうかの決め手となるたいせつな情報が抜け落ちていたことに気付かされることも多いものです。
その代表的な事例がランニングコストについての情報が掲載されていないことです。
アパートやマンションのような賃貸住宅は、入居にあたって敷金や礼金が初期費用としてかかりますし、実際に住み始めて後も毎月の家賃や共益費がかかります。
別荘のように土地や建物を自分で所有してしまえばこうした費用はかからないと思われがちですが、一般的な住宅であればともかく、別荘の場合は賃貸と同様に毎月の負担があるケースが少なくはなく、特に高級別荘地であればなおさら負担すべき金額は大きいと考えられます。
別荘の購入に当たって本体価格にだけ注目してしまうと、所有している限りランニングコストとして毎月のようにかかってくる他の費用を無視することになりかねませんので注意が必要です。
ランニングコストの一例としては、温泉使用料、上水道使用料、施設管理費などがありますが、高級別荘地ではこうしたランニングコストの金額が毎月10万円以上になることさえあります。
想定されるランニングコストの種類
別荘を所有することによって必要となるランニングコストとしては、次のようなものが想定されます。
公共料金: 上水道・下水道・電気をはじめとする水道光熱費などの公共料金があります。上水道や下水道については、市町村が運営するものではなく、別荘地の管理会社が私営の上下水道として運営している場合も考えられます。この場合は管理費とあわせて徴収されます。
維持費: 別荘の維持管理にかかる費用です。庭の雑草駆除やプールの清掃、建物の修繕などがあります。場合によってはホームセキュリティの費用なども含まれます。
公租公課: 別荘を所有する人に対する固定資産税や住民税の均等割があります。これらは国の法律である地方税法に課税の根拠があり、全国の自治体に共通のものですが、一部の自治体では別に「別荘税」が課せられることがあります。熱海市では自治体独自の条例により税目を定める「法定外普通税」として、全国にさきがけて「別荘等所有税」を導入しました。京都市でも同様に「非居住住宅利活用促進税」の導入が計画されています。
別荘物件の本体価格が他の類似の物件に対して異常に安価な場合は、実はランニングコストの高額さに耐えかねた現在の所有者が、早急に売却するために売出価格を引き下げていることも多いものです。
逆にいうとこうしたランニングコストの情報をしっかり確認しないまま売買契約を結んでしまうと、今度は買主が負担の大きさに困惑してしまうことになります。
具体的なランニングコストの事例
以下は全国の別荘地にある物件で徴収されている管理費などの具体例ですが、想像以上にランニングコストがかかっていることを示しています。
また、費目によって購入時や契約時の一度きりの支払いで済むもの、毎年最初に一括して支払うもの、毎月使用量に応じて支払うものなど、いくつかのパターンがあります。
別荘地 | 費目と費用 |
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嬬恋村のある別荘地 | 共益管理費 150,000円/年 温泉受湯預託金 給湯1口100万円(後で返還される) 温泉管理費 10万円/年 温泉使用料 1ヶ月5㎡まで1口 5,000円/月(超過1㎥につき500円) |
山中湖村のある別荘地 | 別荘地名義変更料 20,000円 管理費 70,000円/年(建物ありの場合) 水道料金 基本料金15㎥まで 2,500円/月(超過1㎥につき150円) |
八幡平市のある別荘地 |
温泉利用一時金 1,100,000円(使用開始より10年間、更新は330,000円) 施設管理分担金 110,000円(土地契約時) 水道加入金 55,000円(建物建築時) 汚水処理施設分担金 110,000円(建物建築時) 管理費 3,300円/月(建築後は4,400円/月) |