問題のある住宅を購入しないための内見のポイント

内装

別荘生活

住宅といえば一般に人生のなかでももっとも高額な買い物となります。それは別荘やセカンドハウスの場合であっても例外ではありません。
したがって、購入の際には利便性に富んでいるかどうか、欠陥がないかどうかなどを十分に吟味しなければならず、そのために「内見」といって、購入の候補となっている不動産物件を実際に見学するのが通例です。

不動産の「内見」とは

不動産の「内見」(ないけん)とは、購入または賃貸を検討している住宅について、希望者が実際に見学することをいいます。

この「内見」では、通常は不動産業者や物件のオーナーによる現地案内がありますので、くわしい状況を直接聞くことができ、対象の物件に対する理解が深まります。

素人には建物の良し悪しの判断は難しいのは否定できない事実ですが、少なくとも物件の外観や間取り、周辺環境などを把握するのには役立つはずです。

また、「内見」の際に注意をするポイントをあらかじめ把握しておけば、あまり不動産取引についての知識や経験のない人であっても、欠陥住宅を避けて満足のいく取引をすることは可能です。

内見の際は天井裏や床下を見せてもらう

屋根裏

外観だけを追っていては住宅に欠陥があるかどうかがわからないのがふつうです。
そこでせっかく内見の機会を得たのであれば、通常は見ることのできない天井裏や床下をチェックするのは重要なポイントです。

天井裏や床下を確認できる開口部はどこかにあるはずで、たとえばユニットバスの天井の蓋をはずすと屋根裏に、また床下収納のバスケットを引き抜くと床下にアクセスできたりします。

例に掲げた写真はある中古別荘の天井裏を撮影したものですが、風呂場の換気扇から戸外に伸びたダクトが破断しています。
これでは風呂場の湿気が天井裏にこもってしまい、カビや腐食が生じてしまうおそれがあります。

もちろんこの程度であればリフォームをするのにも1万円以内で済みますので、あらかじめ承知の上で購入を決めるのも、けっして間違いとはいえません。

天井の状態を見る

天井

別荘建築のなかには勾配天井でロフトをつくるケースも少なくはありませんが、一般的な住宅と同様に平天井の場合には、目で見て確認できる項目もいろいろとあるはずです。

たとえば、写真のように天井の一部にカビが密に発生しているようであれば、屋根からの雨漏りによる水が天井裏に達してしまっているおそれがあります。
したがって、天井の汚れを拭いたりシミを取ったりするだけでは事足りず、屋根の修理のための出費が別にかかってしまうことも想定しなければなりません。

中古住宅の修理のなかでも雨漏りはかなりの費用がかかるもので、夫婦2人世帯にぴったりな小さな平屋住宅であったとしても、屋根のスレートの全面交換ならば200万円程度、カバー工法ならば100万円程度、雨漏り箇所のコーキングと屋根の塗替えならば50万円程度はかかります。

こうしたリフォームの費用も計算に入れた上で、物件の購入に踏み切るかどうかを決めたほうがよいでしょう。

扉のきしみや建て付けを確認する

扉

和室の引き戸などがあれば、開閉の際にきしみがあったり、なかなか開かずに建て付けの悪さを感じたりすることがないかどうかもチェックするとよいでしょう。

単純に使用による摩耗によって敷居の部分のすべりが悪くなったのであれば、スプレーや敷居用すべりテープなどを使って改善することができますが、それ以外の要因がひそんでいる場合もあり得ます。

たとえば建物の傾きや歪みなどが関連して引き戸の建て付けに影響している場合、引き戸単体の問題としてとらえるのではなく、建物全体にわたる問題として捉えなければなりません。

特に建物全体の傾きは、中に住んでいると体の平衡感覚が正常ではなくなってしまい、健康にも大きく影響を与えることになります。
そのための修理の費用は1棟あたり数百万円台になるのがふつうであり、いくか物件の販売価格が安かったとしても、修理まで含めるととても安い買い物とは言い切れなくなります。

壁紙の断裂や剥がれなどを見る

壁紙

室内の壁紙を見る目的は、デザイン的な要素が好ましいかどうかをチェックすることだけではありません。
たとえば壁紙の断裂や剥がれ、釘の浮き出しなどの状態を見ると、物件の隠れた問題が明らかになることがあります。

もちろん接着剤や下地が経年劣化している場合、壁紙の剥がれや断裂が生じやすくなりますが、それ以外の理由も考えられます。

壁紙が湿気や水にさらされると、接着剤の威力が低下して剥がれや断裂の原因となります。

建物内外の寒暖差による結露が原因ということもあり得ますが、建物の給水管や排水管が破損して水漏れが生じており、その結果が壁紙にも及んでしまった場合も想定したほうがよいでしょう。ほかにも外壁が破損しており屋外から雨水が壁に浸入した可能性なども捨てきれません。

また、大本の壁のひび割れや歪みがあるせいで、壁紙もそれに追従して剥がれや断裂が生じるケースもあります。

いずれにしても、壁紙だけでは終わらない欠陥が潜んでいることも考慮に入れて、慎重に他の部分もチェックするのがよいでしょう。

より本格的には専門家の活用を

以上が内見の際に気をつけて観察すべき箇所ですが、不審な点があっても不動産の十分な知識がないと確証が持てないこともあり得ます。
こうした場合、やはり専門の業者や建築士に依頼して点検してもらうのが無難です。

最近話題となっているホームインスペクション(住宅診断)は、不動産を購入するのに先立ち、建物の状態や欠陥を調査するプロセスです。
購入を検討している人が独立した検査会社や建築士に依頼し、建物の構造、屋根、壁、床、配線、配管などを詳細に調査してもらいます。

目視で確認できる範囲であれば、5万円程度からホームインスペクションの導入が可能ですので、内覧の際にあわせてお願いするのもよい方法です。

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